大阪周辺自然探訪


                                      1999/4/27更新 SINCE 1999Winter



     山々から眺める雄大な風景、鬱蒼とした自然のなかを歩く爽涼感、川のせせらぎ、
     そういった自然はすべて心を洗ってくれるので最近ハイキングをしています。

     その自然探訪についてのボキャ貧な紀行文。
     (なおコースについてはまったくの初心者なので、昭文社「関西周辺ハイキング」の
     まったくマニュアルどおりのコースを歩んでいます。)


   夏秋冬





    摂津峡・竜王山――おぉぅ、よろしおまんなー、摂津峡は。高槻駅のざわついた雰囲気から、

      巨岩のつらなる清涼な流れにたどりつくと清らかな別天地だ。爽やかダーっ。

      まむしに注意との看板があったが、道中二匹のまむしを見つけたが、蛇は久しぶりなので、

      じっと見つめていた。竜仙の滝は細い流れではあったが、奥深い森林というロケーションが

      いい。竜仙峡もとてもいい流れで、けっこうこのあたりは気に入った。竜王山はあまり

      よくなかったが、野生のサルを二匹見つけたことと、登り口の集落からの展望はまあ、

      よかった。夕方の帰りのバスはもう出発していて、日が暮れるまでに山を降りれるかと

      けっこうあせったが、ほかの路線のバスに間に合いました。



    二上山――羽曳野市を越えたあたりの山々にはビニールハウスがやたら目立ったが、

      のどかな風景だ。雌岳からながめる風景は河内と大和の平野がずうっと見渡されて、

      かなりよい。南からの峰峰の展望もかなり壮観だ。500mほどの山でも登るのは

      けっこうしんどいのだが、ここは犬の散歩がてらに登る人が多い。

      飛鳥とか奈良時代の史跡の名所があったのは思わずラッキー。



    雲山峰(紀泉アルプス)――桜が咲く春先の季節だったので、山道に花が咲いていたり、

      トカゲがあちこちで日向ぼっこしていて、冬の山道を歩けつづけたわたしにとっては

      新鮮だった。登りはかなりハードだけど、泉南海岸とずっと遠くまで見える海の色、

      それと淡路島とか四国かな(?)まで展望が見渡される。泉南側の景色と別れを告げると

      和歌山と紀の川の風景はかなりくっきりと見える。ハイカーは多かったな。ハイキングと

      いうのはオバさんとおっちゃんばかりだということに遅まきながら気づきました。そりゃあ、

      わたしだってちょっと前までは音楽とか映画とか人間がつくるメディアのみに魅かれていた

      のだが、自然とか風景に憧れる気持ちというのはカレンダーを買うときのみだったものだ。





   滝のてんこもり赤目四十八滝


     ここはたしかにすごい。滝だらけだ。名瀑100選に選ばれるというものだ。

     滝のてんこもり、博物館だ。しかもどの滝をとっても壮絶で絶景のものばかりだ。

     不動滝という豪快な滝におどろいていたら、つぎに布曳滝というボブスレーが

    できそうな滝がつづけて現われたりして、そのものすごさにはただ恐れ入るばかりだ。

     いくつもいくつも滝があり、どれもバラエティーに富んでおり、ほんとうにすごい。

     おそらく地質の関係だろうが、包丁と定規で切りとったような絶壁が前景をおおい、

    まるで太古の川にでも来たような感がする。

     空海の修行した洞穴だとか、歩道の上からぽとぽと落ちてくる雨降滝だとか、

    オオサンショウウオ・センターだとか、たしかに観光客が多いわけだ。

     淵もどこまでも深く緑色に澄んでおり、思わずどのくらいの深さか潜りたくなる。

     滝が終わって峠の道を歩いていったのだが、ここはほんと、だれも人のこない、

    ものすごく静かな山奥という感じがして、ちょっと不安なくらいだった。



   春夏秋



   比叡山延暦寺をゆく


     比叡山に行く前に東本願寺に寄っていったのだが、かなり荘厳で厳かな雰囲気がした。

     京都市内の川は嵐山にしろ、なにか独特のよい雰囲気がある。

     延暦寺の大講堂では最澄やら一遍とか親鸞、蓮如、日蓮などの肖像画や銅像が

    飾られており、この延暦寺からそういった人たちが輩出したんだなと感慨が湧く。

     根本中堂はすごく真っ暗なところで坊さんの念仏が静かに響き渡っていた。

     蓮如が修行したという蓮如堂と法然堂は身近に感じられたし、法然堂からふっと

    振り向くと夢かと見がまう琵琶湖の風景には感動した。

     高野山は山上に町を形成していてびっくりするが、比叡山は山中に寺院があるだけである。

     東塔あたりだけをめぐり、もう少し回っておいたほうがよかったかなと思うが、坂道が

    けっこう多くてしんどいし、寺院にはあまり感銘をうけないわたしは早々と切り上げた。

     琵琶湖がわにおりてゆくと琵琶湖の景色が壮大にひらける場所に出くわす。





   岩湧山の展望


     紀見峠からのぼる岩湧山はかなりハードで心臓破りだ。

     岩湧山山頂の展望は息をのむほど美しく、PLの塔や大阪平野、そして眼下の峰々が

    ずっと見わたされる。岩湧寺の室町時代に建てられたという塔は木地がむきだしになっており、

    長い時間を経たことがしのばれる。一匹の白犬がわたしを監視するように近寄ってきて、

    なでてやると近くにマーキングの小便をしていた。

     前日冷えたので地中から生える氷のつららが珍しく、つぶして廻った。




   和泉葛城山のお地蔵さん


     牛滝山から登るコースはかなりハードだけど、鬱蒼とした自然と、

    登りつかれた頃合いにちょうどお地蔵さんがいくつもあるのはなかなかありがたい。

     上のほうまで登ると景色はだいぶ開けてきて、大阪平野もかなり見渡される。

     葛城山上では和歌山の紀ノ川方面までのぞむことができる。

     登った日は平日だったためか、ハイカーとはひとりも出会わなかった。






   芦屋ロックガーデンからの眺め


     高座の滝からまさかこんなところを登るとは思わなかったごつごつした岩山を避けたため、

    餌付けされたイノシシがいる川筋を何度も行きかえして迷いに迷った。(イノシシはけっこうコワイ)

     ロックガーデンを登るごとに眼下に広がる市街地の風景はがひろがってゆき、感動もの。

     草原が山頂にずっとつづく東お多福山はものすごく気持ちよく、

    180度ほど見渡せる風景はたまんない。

     当日は景色がだいぶ霞んでいたが、六甲アイランド、大阪平野が

    かなりのところまで見渡せる。爽快に晴れた天気の日にはどこまで見渡せるか。





   柳生街道を歩く


     奈良から歩く柳生街道には石仏があるわけだが、こりゃあ全然よくなかった。

     沢歩きというのけっこう好きなんだが、ごつごつした岩石の中をながれる小川というのは、

    ひじょうに自然の神秘を感じていいのだが、ことこの柳生街道はイマイチだった。

     山々のなかを抜けると田園がずっとつづき、歩いても歩いても終らないのは不安になる。

     こんなところにも人々が住み、生活を営んでいるんだなと思うと、都会と市街地しか

    知らなかったわたしにはカルチャーショックであるが、のどかでほんわかとしたよいところだ。

     奈良公園ちかくに志賀直哉の旧邸を見つけてしまった。





   武庫川渓谷の真っ暗なトンネルを行く


     現在は廃線となった鉄道跡を歩く武庫川渓谷はなかなかロマンティックだ。

     ただあまり山奥の自然という感じがしなくて、ちょっと郊外の公園みたいな感じが残念だ。

     山々が開け過ぎて、深山幽谷といった感じが醸し出されない。

     驚くほど巨大な岩々が転がっており、見所なんだろうが、ちょっとイマイチ。

     ここの岩々はみょうに白っぽい。

     鉄道跡のトンネルは6本くらいあるのだが、脇道があるだろうと甘く見たわたしは

    懐中電灯をもっていかなく、暗闇のトンネルを途中まで歩いたのだが、

    あまりの暗さにギブアップ。必死の思いで川沿いの岸壁をつたっていったが、

    つぎのトンネルでもまた出口の光さえ見えず、さっききた険しい岸壁ももう引き返せない。

     仕方なくこっそりと懐中電灯をもつ先行者のあとをついていった。

     懐中電灯を忘れずに。





  生駒山上の自然


     近鉄額田駅の市街地からけっこう大阪平野の景色は広がっており、

    だいたいは上に登ってもこの景色のままで推移してゆく。

     生駒山上からは大阪平野も奈良方面の山々も見渡せてけっこうおトク。

     ここのハイカーたちはなぜか極端にあいさつ好きだ、みんな声をかけてくる。

     鳴川峠から近鉄元山上口駅へと降りる沢沿いのコースはかなりイイ。

     ここの雑木林はまったく人気のない自然という感じがするし、

    小さな小さなせせらぎがだんだんと小川にかわってゆくさまはなかなか壮観だ。





  犬鳴山の秘渓


     大阪近郊にこんな奥深い自然があるなんて驚きだ。

     このコースは迷うことが多く、ちゃんとコース通りいっているつもりでも途中で道がなくなり、

    必死の思いで道路に出たり、降りる道までもまちがって、こんな山里の風景が、

    大阪近郊なのかと思いながら田園地帯を歩きつづけたりしたが、まあよかった。





    山に登りたくなったのは、以下の書物からの影響です。

    「漂泊者と隠遁者に学ぶ人生の知恵」



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