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■031122断想集



   赤面と男女の上下関係     2003/11/24


 小倉敏彦の『赤面と純情』(廣済堂ライブラリー)はすごい本だと思う。明治以降の文学にあらわれた豪快な男が想いを寄せる女性の前だけでは赤面したり、もじもじしたりするのはなぜかと考察されていて、その切り込み方に感銘した。

 まあ明治の男は女性との対等なコミュニーケーションの方法を知らなかったり、失恋などで女性は自尊心をくじく迫害的な他者としてあらわれるからなどと説明されている。

 そうなのだろう、恋愛において男は完全に女性の選択権の下におかれる。好意がふみにじられれば、男性は自尊心やプライドをこなごなにされる。一方的な好意だったら、男はなおさら従属的な立場におかれる。男は好意を――赤面を意地でも隠そうとするだろう。

 この本で考察されている母への愛がかなわない『瞼の母』や想いがとげられない『男はつらいよ』は、愛をあえて貫かない男の純情がえがかれ、人々の共感をえてきた。男は女より立場が下になることをまぬがれ、男のプライドは守られたので観客は安心してきたのだろう。

 この社会において表面的には男のほうが女より立場は上である。明治の家制度でも、現在の経済制度においても、男社会が貫徹されており、女性は従属的立場におかれたままである。(と信じられている。ほんとうは女が「やらせている」社会だと見るべきだと思うが)

 男は女より立場が上にならなければならないのに、恋愛において男は女より立場が下にならなければならない。片想いや一方的な好意なら、なおさら従属的な立場にならなければならない。男はそこで好意や愛情を隠そうとして、赤面したり、もじもじしたりすることになる。男の自尊心、プライドなのである。想いが遂げられない男が美化されてきたのは、そこで男のプライドが守られてきたからである。

 一方的な片想いなら女性にふりむいてもらうために男は涙ぐましいプレゼントや努力をしなければならない。80年代に女性に献身的に尽くすミツグ君やアッシー君が揶揄されたが、たいがいの人たちはこんな男女の逆転現象に歯がゆい思いをしたことだろう。

 男社会と恋愛の逆転現象のダブル・スタンダードにおいて、男は自尊心をたもって女性から立ち去るか、それとも見栄も外聞もかなぐり捨てて女に献身的に尽くすか、という選択に迫られたわけである。もちろん想いを寄せる女性を手に入れたのは後者であるが、あるいはバブリー女性に搾取されただけかもしれないが、恋の成就しなかった前者は女性を手に入れられなかったが男の自尊心だけは守ったわけである。

 たぶんいまだって自尊心を守ろうとして女性となかなかつきあえなかったり、趣味に逃げる男はたくさんいるだろうし、恋愛関係で従属的関係になることより、経済社会で上位になろうとする女性もいることだろう。恋愛関係において男女の立場は逆転するのだが。

 男は恋愛関係において男らしさをかなぐり捨てなければならない。さもなければ男の自尊心は守られても、寅さんのように女性に去られてゆくだけである。男は自立したり、上の立場になったり、母への甘えから脱け出したいと思うものだが、それが男の自尊心を育ててゆくのだが、恋愛においてはその成長欲は恋の障害物となるだけである。赤面とは立場が下になりたくないという男のプライドなのである。







  もし愛した人が嫉妬狂と復讐魔だったら     2003/11/22


 人を愛するとはその人でないといけないということである。もしその思い焦がれる彼女が嫉妬狂と復讐魔だったらどんなつらい想いをするだろうか。こんな悲劇みたいな、喜劇みたいな話を考えてみよう。

 嫉妬狂の女性は常人が思いもつかないことに嫉妬できる。同性と話していても放っておかれたと思って激しく嫉妬するし、仕事で女性と話していても嫉妬する。すこしでも電話しなかったらもう怒りに変わっているし、ちょっと相手のできない時間が長引けばもう怒り狂っている。

 しかも女性というのはどうも感情や気分中心に考えるらしく、自分の気分をよくした人は「よい人」、悪くした人には「悪い人」と判断できるらしい。ゆえに「悪い人」に怒ることも罰することも正当的行為、正義と判断できるのである。

 それが常人には思いもつかない嫉妬心を根拠に正義の行為がおこなわれたとしたら、男にはさっぱりワケがわからないだろう。ただ意味もわからなく怒られたり、冷たくされたり、電話を拒絶されたり、呆然とするしかないだろう。ただ彼女が急に鬼か般若に変貌した結果の部分しか見えないからおろおろするばかりである。

 男はせっかく電話したり、デートに誘ったとしたも、彼女の気分をいつの間にか害したなどとも露とも思わないで、冷たくされたり、断られつづけるのである。あるときは愛情あるそぶりを見せていたと思っていたら、つぎの瞬間には怒りかえされたり、冷たくされたり、悪意ある言葉を吐きかけられたり、「もういったいなんなんだ〜」と頭をかきむしりたくなるだけである。

 嫉妬深い女というのはその嫉妬深さも復讐の武器にする。ほかの男といちゃいちゃしたり、男の車にのって帰ったりと、自分が傷つけられた分と同じだけ男に嫉妬の復讐をおこなうのである。でもそのことに男が嫉妬すると女は怒る。復讐だから正当化できると思っているのか、人の自由だと開き直っているのか。

 嫉妬深い女は怒りや復讐をきっちりと返そうとするから、男のほうからみれば、どうみても愛を破壊しているようにしか見えない。自分の傷つけられた分のお返しをしているだけのつもりかもしれないが、愛情の根をどんどん削りとってゆくことにまったく気づいていない。

 愛する人が憎悪や復讐の対象となるのである。こんなことでは愛が破壊されてゆくばかりなのに、嫉妬や傷つきやすさの認識が先鋭的なばかりなために、愛を表現することより、怒りや冷たさの表現ばかりが相手に返されることになるのである。

 愛する人が特別な存在になるのはだれにでもあることだ。期待や要求水準がかなり高まる。自分の感情や気持ちをぜんぶ満たしてくれるような過剰な期待を抱いてしまう。そして失望や幻滅を味わい、憤懣をぶつけ、彼氏の顔も見たくなくなる。男にしてはまったくチンプンカンプンである。勝手に過剰に期待され、勝手に失望され、相手にもされなくなるのである。

 男は理解不可能な彼女の責苦にさいなまされて心がゆっくりと離れてゆく。彼女は自分の心が傷つけられたから彼氏が悪いと思って正当化しているし、男のほうは彼女の怒りや冷たさ、不可解さばかり見せられて、つられて自分も怒り出して終わりになるか、心が冷めてゆく。いつ、どのタイミングで彼女に声をかけたらいいのかさっぱりわからなくなって恐くなるし、彼女の人格にも信頼がおけなくなる。

 嫉妬深さに愛を破壊してゆく女は自分の復讐の正当化がおこなわれているから、相手が悪いと思い込むので反省することもなく、男をつぎつぎと変えてゆき、同じことをくりかえしてゆくことになる。

 いつも届きそうな愛を目の前で自分から破壊してゆくから、愛の渇望は強く、男を誘惑する術は長けてゆくのだろう、男をとっかえひっかえ同じことをくりかえしてゆく。そして過ちに気づかない。まわりの人はまた同じことをくりかえしているといやになるが、本人は自分が悪いとは思ってもいないだろうし、同じ失敗をくりかえすとは、バラ色の求愛期間には、及びもつかないのだろう。

 嫉妬深さが悲劇のはじまりである。男には彼女の理解不能の怒りや冷たさから悲劇がはじまったように思えるだけである。

 彼女の嫉妬深さはいつ、どのようにはじまったのだろうか。劣等感、羨望、愛する人への過剰期待、そして感情中心の判断、仕返し、愛の破壊、などが連なって絡まっていったのだろう。彼女は自分の嫉妬心を根こそぎにしないことにはずっと手に入れかけた愛を破壊しつづけてゆくことになるだろう。

 男はせいぜい少しでも早く彼女の気持ちのメカニズムを理解してやって、彼女の気持ちをなだめ、慰めてやるしかないだろう。怒り狂えばすぐに関係は終わる。寛容な心で理解してやるしかない。嫉妬心の消去の方法を知って教えてやることができればいいのだろうが、そのときには、愛の破壊者は満たされない愛をさがしもとめて、ほかの男に心を移していることだろう。







   女性は非難しているのではなく、感情を共有したいだけ    2003/12/13


 女性の感情の動きには男の私にはとうてい理解したがいものがある。あるときはやさしくしたり、急に怒り出したり、冷たくしたり、その理由がまったくわからない。したがってこちらが近づけば、冷たく奈落につき落とされることがしばしばで、女性の頭の中はどうなっているのだろうと茫然自失となるしかない。

 女性は自分の感情の理由をひとつひとつていねいに男に説明しないと男は理解できないと思うのだが、不安やさみしさ、悲しみをつたえるのは抵抗があるのだろうから、つい女性は怒りや非難に走ってしまい、そしてけっきょくは関係を破局にみちびいてしまう。

 石井希尚の『この人と結婚していいの?』(新潮文庫)はそのような男と女の感情のすれちがいを見事に説明していて、目が醒めるような思いをした。とくに女性の感情的な発言は事実をいっているのではなく、感情的な気分をあらわしているだけであって、男はその字義どおりにうけとってはならないというのはものすごく参考になった。

 「「話したくない!」と彼女が言ったとき、それは本音では「話したい」という意味であることを理解しておいてください。「話したい」けれど、あなたに対する不満が「話したくない」という感情的な発言になっているのです。

 男性の左脳にとっては、「話したくない」はその通りの意味でしかないのですが、ここで「あっそう」などと言って話をしないでいると、彼女の心が完全に切れてしまうこともあります。彼女の本心をくみ取ってください」

 男にとって「話したくない」は字義どおり会話の拒否である。男はいまは会話したくないのだなと会話を控える。しかし女性にとってはそれは気持ちを表わしただけなのである。傷ついた気持ちを訴えたかっただけなのである。これを男に理解できるか? また拒否する女性にとりすがって心を開かせることができるか。男は女性の感情的な発言を言葉どおりにうけとってはならないのである。

 また女性は「あなたは最低」だとか「あなたはいつもそうよ」という男を傷つける発言をするが、これは相手を非難しているわけではなくて、自分の感情を表わしているだけだそうだ。気持ちの落ち込みを表現しているのであって、相手を憎いわけでも、嫌いになったわけでもないという。自分の気持ちを分かってほしいだけなのである。

 しかし男にとっては事実や言葉が重要だから、そのままにうけとり、たいそう傷ついて自信をなくすか、自分はそうではないと否定してケンカになるかだ。男は女性の気持ちを共有してやらなければならないわけだ。自分を守ることより、彼女の気持ちを慰めるほうが大切なのだ。

 女性は共感や共有、いっしょにいることをとても大事にする。会話でも男のように答えや解決をもとめているわけではない。ただ気持ちや考えの共有をのぞんでいるだけなのである。そこに人とつながっている安心感や充実感を感じるからである。感情的になるのはそれが欠落しているというサインなのである。

 女性の出口のないような、脈絡のない会話に男なら閉口したことがあるかもしれないが、女性は会話したり、いっしょにいることの安心感を感じていたいのである。男はほんとうに要件とか用事がないと会話をムダだと思うし、答えや解決がのぞめない会話に意味を見出せないと思っている。でもそれが女性の感情を共有したいという安心感をずいぶんと傷つけているということになるんだな。

 女性には人生を共有しているという実感が必要なのだ。そうでないと、自分一人が置き去りに去れているような最も感じてはならない不安――「自分は大切にされていない」という決定的不安を刺激することになってしまう。女性は誰よりも大切にされているという安心感がとても重要なのである。

 女性は事実をいっているのでなく、感情をいっているだけ――このことは男にはなかなか理解しがたい心の動きだが、女性とつきあう男は理解しなければならない事実なのだろう。感情を中心にものごとを捉えるのはどういうことなのか、どういう世界なのか、男は女性の身になって理解するべきなのだろう。

 男には非難や拒否と聞こえる女性の言葉も、いまの気持ちを表わしているのであって、言葉どおりの意味にうけとってはならない。「自分は大切にされていない」という気持ちを表わしているだけなのである。男は肝に銘じなければならない。







  さいきん思うこと、つらつら       2003/12/23


 書くことがなにも思い浮かばないから、さいきん思いついたことをつらつらと書きつらねます。

 12月になって増えたのはふつうの家にともるクリスマス・イルミネーションですね。あれはなんだろうと思う。雰囲気はいいんですけどね、クリスマスのなんたるかを知らない日本人がよくやるよと思う。

 中身がからっぽで、いつも形か雰囲気だけ。日本人の思想とか頭のなかってぜんぶあんなものなんだろうなと徹底的に象徴しているものなんだろうな、クリスマスというのは。

 さてわたしはことしで36歳になったが、子どものころから見ればとんでもないオトナやオヤジなんだろうけど、当人はちっとも歳をとっていると思わないことを知りました。たぶんそれは老齢になってもおんなじなんだろうと思う。

 もうわたしは中年と呼ばれる年齢にさしかかるのだろうけど、結婚も家庭ももっていないため、若いコドモみたいな女の子が子どもをつれているとぎょっとする。もうわたしはそんな年をすっかりと過ぎてしまったのに、いまだに結婚も子どもも持っていないと思うと、わけもわからなく時を過ごしてきたことにすこしの後悔を感じる。

 仕事に関してはもうなにも考えないことに決めたら、けっこう順調にいっている。不満とか理想とかをもっていると、ぎゃくに自分のほうを破壊してしまうものなんだろうなと思う。バカになるのがいちばん。

 哲学とかものを考えることに価値をおくことから、思考を捨てるという方法に重きをおくようになってから、やっぱり人生がだいぶ軽くなったと思う。きのうのことや覚えたことをものすごく忘れるようになったが、たぶん人生はこちらのほうがよほど幸福なんだと思う。きのうのことや記憶をずっと覚えつづけることは、人生を壊滅してしまうものなんだと思う。

 さいきんは恋愛のハゥトゥー本ばかり読んでいたが、ある女性とてんでうまくいかなかったからだ。彼女からモーションをかけてくると思っていたら、誘えば拒否されるし、ワケもわかんなくいつのまにか怒っているし、でも気があるようだし……。まあわたしが女心というものをまるでわかっていなかったのだと思うが、それにしても彼女の心変わりは常人では理解できないくらい激しく、男の誘いを拒否することに喜びを感じているみたいだし、ぜんぜん素直になれないみたいだし、もーどうなるのかわかりません。

 恋愛に頭をのぼせていたからか、それとも外界より心のコントロールのほうを大事にするようになったからか、ことしは社会情勢にまるで興味がわかなかったというか、さも一大事というようにニュースにわきたつ姿勢にうんざりしていた。このまま世間に関心をなくして生きてゆこうか。

 いまの読書は女性マンガのガイドブックに触発されて、桜沢エリカとか南Q太、やまだないと、内田春菊などの女のマンガを読んでいる。まあ女心や女の現実というものを知ろうという試みなつもりなのだが、やっぱりエロエロなアダルトマンガばかりに目が向くのは男のサガか。でもマンガなんて一時間で一冊読み終えてしまうし、お金がいくらあってもたりない。まあ書評を書くのが楽しみです。

 正月はJRの青春18きっぷでどこかに旅でもしようかなと思っている。駅で寝袋で寝るのは寒いからどうしようかなとも迷っている。近くの山にでも登ろうか、飽きてきたけど。パソコンを買い替えようかなとも思っている。ワイド画面でTVが見れるのがほしい。でも20万もかけるのはいやだけど。もしそのときにはこのHPもヴァージョンアップがやっとできることだろう。




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   ues@leo.interq.or.jp

 
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『赤面と純情―逃げる男の恋愛史』 小倉敏彦 広済堂ライブラリー






































































































































































『この人と結婚していいの?』 新潮文庫 
















































































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『ラブ・ストーリーズ』 YOUNG YOUコミックス




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目を閉じて抱いて (1)
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