■お金とは人の喜びのことである。 2006/7/25
『マーフィー みるみるお金持ちになる法則』 植西聰
成美文庫 2001/6 505e
すばらしい本。金持ちとはなにかと教えてくれる本。金持ちとは人に多く喜びを与えた人なのである。お金は人に喜びを多く与えた人に集まってくる。
金儲けとは人間関係そのものだと思った。自分のことばかり守ろうと思っている人はお金にも人にも嫌われるが、人に多くの喜びを与えられる人はしぜんにお金も人も寄ってくる。お金は人の喜びや利他行為の貯蔵庫のようなものなのである。
たぶんにお金は汚い、金儲けは悪いことだと思っている人は、自分の利益を一人占めにしようとし、そして人の喜びや楽しみも自分のために奪いとろうとしてしまうのだろう。お金は奪いとるものだと映る人には、自分の奪いとる姿勢を他人に見ているに過ぎないのだ。他人とは自分の鏡である。
「人は誰でも人に喜びを与えている限りその分だけ財産を持っていることを忘れてはなりません」
マーフィーは「他人を敬える人が豊かになれる」という。
「他人を愉快な気持ちにさせたければ、他人を敬いなさい。同時に愛と善意を与えなさい。これさえ守れば、人はあなたを放っておけなくなります」
「誰でも心の中にもっとも深く根ざしている願望は、自分の存在感を認めてもらいたいということです。他人の存在感を認めなさい。そうすればあなたも認めてもらえます」
「人は自分の関心事に反応を示されると大きな喜びを感じます。それは自分の価値が他人から評価されたことになるからです」
そして「喜びを与えよ! されば与えられん!」という。
「他人に喜びを与えることに快感を感じた瞬間、お金はあらゆる角度からあなたへと流れてくるようなります」
「お金を殖やすコツは一人占めの発想から脱却することです。人のためになることを目指す時、あなたの富は大きくなっていきます」
「人のために尽くすことが自分が富むことに通じる」という。
また「自分が困っている時こそ相手に尽くそう」という。私たちはそういうときこそ人助けなんかとんでもないと思うだろうが、「自分自身の問題が解決していることに気づくでしょう」というのである。
「人間とは、その人が一日中考えていることであり、人の一生とは、その人が人生をいかに考えたかです」
これらのマーフィーの考察からお金とはなにかと見えてくる。お金とは人の喜びをめざしてぐるぐる回るものなのである。利他行為プラスそのうえにさらに喜びが必要なのである。
私たちは仕事はしんどい、つらい、サボリたい、すこしでもラクしたいと思いがちだが、こういう姿勢では人に喜びを与えられないばかりか、ときには不快感や損失感さえ人に抱かせてしまうだろう。自分の疲労や損失ばかり考えているからである。そしてお金は集まらなく、貧乏になってしまう。他人に喜びを与える快感を悟ったときに、はじめて私たちは仕事の本質を知り、そして仕事の評価やお金も集まるようになるのだろう。
お金とは利他行為や人の喜びの集積である。社会はよくもこんな喜びの財貨というしくみをつくったものである。そのおかげで文明は発達し、社会は快適に便利になった。社会は利他行為に喜びを感じた人に評価とお金を与えるのである。
「人の喜びは自分の喜び」という思いを仕事に結実させたときに、私たちはお金に困らない秘訣を手に入れるのだろう。お金や仕事というのは、じつに社会や共同体によくできたしくみだ。感嘆するしかない。利他行為のポイント表みたいなものである。お金持ちとは利他行為の表彰者なのである。
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