バナー
本文へジャンプ 2002-2004 

 


      超オススメ特選集 2002-2004


 私の「GREAT BOOKS」に選定した2002年から2004年の本です。

 「GREAT BOOKS」の選定基準は私の世界観をひっくり返した本、もしくは目からうろこの本、または一行一行が身に沁みた本だけを選んでいます。
 ほかにもいい本はたくさんあり、あとから見てなぜこの本も選ばなかったかと思うことも多々あり、かなりキビしく選定しています。

 それだけに自信をもっておすすめできる本ばかりです。ただし、あくまでも私ひとりの基準であって、ほかの人にもすべて当てはまるというわけではまったくありません。

                            2006/3/5




 『グルジェフとクリシュナムルティ エソテリック心理学入門』 ハリー・ベンジャミン  コスモス・ライブラリー 80. 2000e(古本)

 近年、まれにない感銘をうけた本である。人間は精神と身体のみの存在ではないこと、われわれが自分自身と呼んでいるものはたんに「想像上の私」にすぎないこと、われわれがふだん行なっている自分の価値観をひき上げようとする「内なるおしゃべり」などを、極めて明晰に理解させてくれた。

 とくにわれわれが始終行なっている「内なるおしゃべり」――他人が自分をどう扱ったか、どんな軽んじた扱いや避け方をしたかという頭の中の独り言には、じつに自分自身にも覚えがあり、ひどく感銘した。

 われわれは他人に敬意を与えられるべきだとか、他人は私を好きになるべきだ、われわれは常に幸福であるべきだ、外部の出来事が私の楽しみを妨げるべきではない、などと無意識に思い込んでいる。われわれは自分自身がいつも正しくなければならないのである。それが満たされないと、われわれはたちまち「内なるおしゃべり」をはじめるのである。

 過去の出来事を思い出したり、ぱっとしない世評にたいして言い訳したりする。「内なるおしゃべり」とは自己正当化と自己賛美のキャンペーンなのである。そうすることによって自分自身を最高度の価値評価に保つことができる。想像上の価値観こそがそれ自身なのだから。

 この本はモーリス・ニコルという人の『グルジェフとウスペンスキーの教えに関する心理学的注解』が元になっており、私はこの「内的考慮」「内なるおしゃべり」をもっと知ろうとしてグルジェフの本を読むことになる。



 『ラムサ―真・聖なる預言』 ラムサ  角川春樹事務所 1986. 1553e(古本)

 すごい本である。チャネリングなどでは「あなたは神である」とよくいわれるのだが、こういわれば驚く。「神は単一の存在で、自分の手で天と地を創造し、それから人間という生物を創造したとあなたは教えられてきた。しかし、実はそれはあなただったのだ。朝の太陽も、夕刻の空も、あらゆるものの美を創造したのもあなただ」

 また、こうもいっている。「あなたが死ぬ理由はただひとつ、自分が死ぬと信じているからです」「自分に限界を設けてしまうような信念を容認することで、あなたは限界だらけの人生をつくり上げる」「皆は自分自身の思考によって自分を絶望に追い込んだのだ」

 「けっして何も信じてはいけないことです。絶対に。信じるというのは、まだこれから知るべきこと、体験を通してこれから理解していくべきことについて、確信を持ってしまうことです」

 「あなたが生きているこの人生は、夢だ。大いなる夢、言わばうわべなのだ。それは、思考が物質と戯れている姿であり、夢見人であるあなた自身が目覚めるまで、あなたの感情をその中に拘束しておくための深遠なる現実をつくり出しているのである」

 「思考なしにはあなたの身体は存在せず、物質さえも存在することはない」「物質とは、思考を最も大きく変容させることによってつくり出される思考のレベルなのだ」

 「あなたが宿っている身体は、魂を運ぶ車であり、この物質界に生き、遊ぶことを可能にするために選ばれた、洗練された手段にすぎない。にもかかわらず、この手段でしかないものを通して、あなたは自分の本質が自分の身体だという幻影にどっぷりと漬ってきた」

 「あなたにとってこのレベルが存在しているというのは、あなたの肉体、つまり、あなたの化身にある感覚器官が、物質という、光の周波数の中で最も低いレベルを感知するようにつくられているからです」

 「限りない思考を使えば、化身や、すべての場所、すべての宇宙を超越できるのだともし知っていたら、あなたは二度と限定されることを選びはしないだろう」

 「すべてひとつである状態は、本当にわずか一瞬、ほんの一呼吸しか離れていないところにあるのです。自分の存在の内奥で、どんなものとも別の存在でありたくないと願うとき、あなたはもはやそうでなくなります。すべての思考から自分を分離してきたのは、あなたの価値観、限られた思考、そして変容をきたしてしまったアイデンティティなのです」



 『バーソロミュー』  マホロバアート 86. 2300e(古本)

 チャネリングである。怪しいです。「宇宙」や「大いなる叡智」などの頻出するワードはもっと怪しさを増します。でも言っている内容は心理学的にめちゃくちゃ学ぶべきものがあり、この認識は意識や視野の拡大をもたらしてくれるものだと思う。

 瞬間に生きる、怖れから逃げずに見据えること、悪い部分の自分も愛する、想念や感情はそれにとりこまれずに現れては消えるにまかせる、などの私もまったく納得する心理的な知恵がのべられている。これらについては一点の怪しさもまちがいもないと私は思っている。

 「大いなる叡智」や「転生」、「ソウル・メイト」、愛とは肉体がべつの肉体を愛することではなく、自分のあり方そのものだといったことや、人間の精神や肉体は自分という存在のほんの小さな部分であり、宇宙空間にに達するほどの広大無辺な存在であるというところにまで来るとさすがに現代人の知性はここまででとどまろうとするだろう。でもほかの心理学的知恵にはものすごく教えられるところがあるのはまちがいないところだ。怪しさがなかったら、私には手放しの大絶賛の本であるが、「隠れ称賛」の本である。



 『「嫌いな自分」を隠そうとしてはいけない』 デビー・フォード  NHK出版 1998 1600e

 「嫌いな他人とは自分自身のことである」――このことを自覚するのはむずかしい。他人と自分はまったく別物と思うからだ。しかしなぜ他人の嫌いなところが感情的にひっかかるのだろう。それはその嫌いな部分が自分自身にあることを認めたくないからである。

 これはユング心理学でいう「影の部分」である。自分の嫌いなところを自分から隠そうとすると、他人に見つけてしまうのである。そうして人は自分の嫌悪感を排斥したいばかりにずっと影の部分と無益な闘いをおこなうことになる。

 この影の部分のとりもどしは前からの私のテーマだった。でもなかなかよくわからないのである。それでこの本が出ることになって、よりいっそうの理解を深めることができるようになったと思う。

 たぶん認識の失敗があるのだと思う。心の中には自分も他人もない。ただひとつの心があるだけである。しかし人はそのひとつの心を自分と他人に分けてしまう。気に食わない部分、あったら困る部分は都合よくぜんぶ他人に与えてしまう。しかしその捨てた部分はオバケのように他人の姿にあらわれ、ずっと自分の嫌な部分と闘いつづけるというわけである。オバケが消えるのはそれが自分だと、自分の心だと、わかったときである。

 なおこの本では悪い部分の投影だけではなく、よい部分も投影されていることを教えてくれる。あなたがある人に偉大さを見るとするのなら、それは自分自身の偉大さである、つまり影の部分であるということである。影は善悪両面で成長のためのきっかけを与えてくれるのである。



 『整体 楽になる技術』 片山洋次郎  ちくま新書 2001 720e

 身体を現代思想的に語った本はそうない。書店に並んでいる健康医学の本は読者の知的水準をバカにしたような教科書的な本ばかりだ。だから身体についてもっと深く考察してみようという気にもならない。

 この本は不安や怒り、緊張したときにわれわれの身体はどうなっているのかということや、われわれの身体はいまどのような状況におかれているのかということが、現代思想的に探られている、知的好奇心を誘う優れた本だと思う。おかげで身体をもっと探究してみようという気になった。

 とくに感情と身体の明確な関係図は把握したいと思う。緊張すれば胸が緊張し息がつまり、呼吸と眠りは腰椎5番と関係が深く、頭と目の疲れは首の緊張と関係がある、胃が痛くなるのは腹直筋とみぞおちが硬くなるから、下腹部とみぞおちはシーソーの関係になっているなど、こういう身体の図式はぜひとも頭に入れておきたい。

 われわれはあまりにも自分の身体のことを知らない。怒りや恐れのときに身体がどのようになっているのかも知らないし、客観的な知識ではなくて、内側から自分の身体を知るということもない。そしてわれわれは身体の犠牲者になる。自分の身体を実感や身体感覚から知らなければならないと思う。



 『疲労回復の本』 津村喬 
 同朋舎 1999 1300e

 心の疲労がからだの筋肉の緊張やこりをもたらすということは、もっと注目するべきだと思う。その慢性筋肉疲労がさまざまな病気をもたらすということにもっと気づくべきだと思う。

 この本はその筋肉疲労に注目した数少ない本の中の一冊であり、探していた本をやっと見つけたという気がした。われわれは怒りや恨みなどの感情を長くもちつづけるために筋肉が緊張し、その延長が慢性疲労や病気につながってゆくのである。

 情念としての筋肉をときほぐすことはものすごく重要なことだと思う。それより前に感情が身体をどのように緊張させるか、どの部分を緊張させるのか、ということを知らなければならないと思うが、そのことを追究する人もあまり多くない。筋肉と感情の関係にもっと注目すべきだ。

 この本の中の緊張をときほぐすエクササイズはちょっと絵柄が大ざっぱでくり返しに向かないのが残念だ。




 『筋肉疲労が病気の原因だった』 福増一切照 
 総合法冷 1997 1500e

 慢性筋肉疲労が万病のもとだという本である。緊張がつづくと血行障害をおこし、腰痛や肩こりになり、内臓機能を狂わせ、糖尿病や心臓病をうみだすということである。

 また筋肉の緊張/弛緩は自律神経のセンサーであり、筋肉は血液を送り出す第二の心臓だということである。筋肉の役割はいままであまりにも見過ごされていたというわけである。

 筋肉にも人生のパターンは記憶され、怒りや恨みは慢性疲労の大敵である。それらの感情は筋肉の緊張を長引かせる元となる。心は一過性のようにあることが大切である。



 『若者が≪社会的弱者≫に転落する』 宮本みち子 
 洋泉社新書 2002 720e

 そうだな、若者を「社会的弱者」とくくることはとても納得できるカテゴリーづけだと思う。私の経歴からいっても実感できる。若者は世界的にみても貧困、低所得、失業、フリーター、未婚の坂を転がり落ちつづけているのである。

 中高年は所得は高く、社会保障もしっかりしているほうだし、マイホームもある。世代間格差が確実にひろがっており、若者はその差をうめるべく親にパラサイトし晩婚化するしかない。

 しかもいまのマスコミや世間はその現実をみようとせず、若者の怠けぐせとしてかれらをバッシングするのみですませている。自分たちの既得権益のやましさを、若者のバッシングでかわそうとしているかのようだ。

 若者の危機に警鐘をならしたこの本はとても共感できる部分が多く、まるで自分の声を代弁しているかのような箇所がたくさんあった。若者が層として不利益集団になりつつある、という新たな認識のもと、社会政策やシステムを変えてゆかないと、将来の惨禍はたいへんなものとならざるをえないといわざるをえないだろう。若者のまわりの社会から変えてゆかないと、未来はないのだろう。ぜひこの本を読んでほしい。



 『フロイト先生のウソ』 ロルフ・デーケン 
 文春文庫 2000 705e

 これまで心理学によって与えられた常識を見事に覆してくれる好著である。学問というのはどこか必ず根底から覆し、批判する知識が必要だと思う。信仰になったらおしまいだ。

 とくに心理療法は現代のペテンだといったところや、つらい記憶は抑圧されなく、とうとつに思い出される、精神の健康は不安やネガティヴな感情から逃げることによって維持される、フロイトの近親相姦説は生物学の常識からいって考えられない、などの統計データから導かれた説がよかった。

 もう私もフロイトの説より、自己啓発や禅仏教などに学ぶほうが精神の健康にはよほどよいと思っていたから、この本はとても勇気づけられた。(瞑想は昼寝程度の平静しかもたらされないといわれているが)

 本の帯には「フロイトはマルクスよりも多大な損害を人類に与えた」と書かれているが、あながち大ボラとはいえないかもしれないな。つづく心理学も業界の利益のためにみんなを病者にすることによって人々の恐怖を煽り、マーケットを広げているし。心理学はクスリと劇薬だな。


 『「心の専門家」はいらない』 小沢牧子 
 洋泉社新書 2002 700e

 この本も心理学に対する問題提起の本だ。心理学やカウンセラーが必要とされるということは、心や人の関係が商品や消費となってしまうことだと警鐘を鳴らしている。

 心の問題とはしょせんは生き方の問題なのだが、大人たちがそれを見せなくなったうえ、産業化によって家族や共同体の絆は断ち切られ、孤立の度合を深めている上に、さらに心の問題まで商品化されると、人々はますます閉ざされ、孤立し、不安にさらされてゆくことになるという。もっとも必要なことは人々がつながりやすい条件の援助だと著者はいう。

 この消費社会は「自分でやろうとするな、依存せよ、購入せよ」というメッセージに満ちている。産業に依存することにより個人は自前でやりぬく能力を失い、家族や共同体はますます解体されてゆくばかりだ。人は「生かされる消費財」として生き、「生きることは買うことなり」という人生を生かされることになる。

 専門化や商業化されてゆく危険性を強く感じる本である。われわれは専門家に依存し、ますます個人の能力、家族や共同体の絆を失ってゆく。しかも専門家は自前のやりかたを批判し、家族や共同体を解体させながら、自分たちの発言力や地位をあげてゆく。個人や家族は専門家の前でますます無力になり、依存してゆくいっぽうになり、人々は自信を失ってゆくばかりである。

 さらに心理学は人々の異常性を告発する知識であり、社会変革を放棄した順応主義のテクノロジーにもなりうる。心理至上主義や専門家主義はひじょうに問題の多い要素をはらんでいるのである。専門家信仰にたいする批判力や判断力がわれわれに緊急に求められているのではないだろうか。



 『人間通でなければ生きられない』 谷沢永一 
 PHP文庫 1981 400e(古本)

 批判や悪口、欠点を指摘し、アンチを唱えるのはだれでもできることで、それが日本の知識人や言論界の仕事と思われたり、優越感や選民意識が満足させられたり、怨みつらみが発散させられたりするのはよいことではない。

 とくにアタマからこれを信じてしまう読者は世を呪い、人を怨むようになり、人生は不幸と悲惨につき落とされてしまう。知識の正誤より、人生の幸福や満足を客観的にみられるほうが重要ではないのかと思う。批判やアンチは人生の肯定と愛を破壊してしまうものだ。

 谷沢永一はそういう知識人の否定と肯定の態度を客観的に見られる人であり、だから批判的知識ばかり摂取してきた私としてはたいへんに重要な知恵を与えてくれる。心理学のポジティヴ・ネガティヴ思考のような枠組みが社会観にも必要だと思うのである。

 この本では批判や罵倒に傾いてきた知識人のなかでも日本を肯定的に捉えた人たち――大宅壮一、梅棹忠夫、司馬遼太郎、高橋亀吉、山本七平がとりあげられている。

 肯定や称賛が行き過ぎて放漫さや暴虐にまで走ってしまうのはキケンであるが、罵倒や蔑視のみもおおいに誤った姿勢である。人生は肯定も否定もせず、ただ受け入れることが大切なのではないかと思う。社会を否定することは自己も幸福も破壊することである。


 『夜這いの性愛論』 赤松啓介 
 明石書店 1994 1300e(古本)

 一冊の本を読み終えたら世界の見え方が変っていたということがあるが、この本はまさしくそのような本である。おおらかで積極的で目からうろが落ちるようなむかしの男女の性体験、性風俗が語られていて、こういう語りこそが大人から人生を教えてもらうというものだろうと思った。

 性をあからさまに語るということはまさしく人の生きざまを語るということなのだと思う。性を語れなくなった現代というのは人生をも伝えられないということなのだろう。性に拘泥せずにおおらかに性を楽しんだむかしの日本人の姿を知ることはかなりのカルチャーショックである。とにかく読むべき本である。



 『恋愛セラピー』 松本一起 
 KKロングセラーズ 2003 905e

 かなりすばらしい本である。喧嘩や嫉妬より、愛したり許したりする気持ちのほうがどんなに大切なことか教えてくれる本である。愛する人を失うために怒りや嫉妬に駆られるわけではないのだから。この本は愛する愛おしさの気持ちをなんども思い出させてくれるかなりいい本である。

 「恋人が出来なかったあなたは、今まで自分のことを大切にしていなかったのです。今日からは、あなた自身を過大評価して、上へ上へ舞い上がりましょう」

 「いいですか、人に自慢しては駄目です。あなた自身に自慢してあげるのです。毎日、自慢してください。あなたはたくさんの人の前でも、堂々とあなたでいられるはずです」

 「恋愛の想像は、なぜかマイナス志向が多いのです。頭で思うって分かりますか。気持ちを鎮めることから始めるのです。好きな人のことを悪く悪くイメージして、押さえ付けてゆくのです」

 「嫉妬しない方法。とても簡単なのです。相手を信じればいいのです。悪い想像力を使って、些細なことを広げなければいいのです。たった、それだけのことです。だって、あなたはその人と別れたいのですか。相手の人のことをすべて信じればいいのです。疑うなんて最低です」

 「あなたが、彼のことを心から愛していたり好きだったりしたら、どんなことでも許してあげるのです。――それとも、自分の我を通して、相手を押さえ込んで、相手に謝らせたいのでしょうか。何日も何日もかかって、相手に謝らせたいのですか。その間、音信が途絶えても自分を優位に立たせたいのですか。好きな人と喧嘩して何が楽しいのですか。ただ苦しむだけなのです」



 『この人と結婚していいの?』 石井希尚 
 新潮文庫 2000 476e(古本)

 男と女のすれちがいに悩む人には最高の名著だと思う。男と女の感じ方、考え方のちがいをこれほどまでに明確に具体例をあげて教えてくれる格好の本はないと思う。

 たとえば女性が「話したくない」といったとき、傷付けられたことを訴えたいだけであって、男は言葉どおりにうけとって黙ってしまいがちになるが、そうではないという。女性は気持ちの共感や同情がほしいだけなのである。

 女性は大切にされているという実感をとても大切にするが、その安全基準がどこにあるのか男にはまったくわからない。だから男性には女性がなんで怒っているのか訳のわからないことが多い。タオルの置き場所を怒ることによって、大切にされていない不安を訴えたりする。男性は女性の感情生活により神経をそそぐことが重要なのである。

 男なら女性の脈絡のない会話に閉口したことがあるかもしれないが、男は要件や用事のない会話はムダだと思うからだが、女性は会話する安心感や共有する充実感をとても大切にするため、沈黙をひどく怖れる。関係が破綻しないよう男はなんでもない会話でも共有する努力を怠ってはならない。

 この本はほんとに男と女の言葉と感情のすれちがいを見事に解明してくれていて、感嘆と発見と驚きの連続の本である。経験したかもしれない男と女の言葉や感情のすれちがいの原因をあちこちで見出すことになるだろう。



 『なぜ彼は本気で恋愛してくれないのか』 ハーブ・ゴールドバーグ  
 ワニ文庫 1991 648e

 たぶん女性向けに書かれているのだろうが、男がぜひ読むべき女性にとっての男の性質がどのようなものかを教えてくれる驚嘆の書である。男らしさ、男としてよかれとやっている論理や感情の抑制が、女性を傷つけているとはじつに皮肉なものである。

 「少年のころは、身近な人に頼らない男らしさを見せると好感をもたれました。とくに喜ばれほめられた気質は、自立心旺盛、意欲的、野心的、目標志向、ワンパクさ、責任感の強さ、活発さ、といったところでした。
 ――ところが皮肉なことに、彼を「男らしく」見せていた気質が、将来「無神経」で女性に横暴にふるまう男に彼をしたてあげてしまうのです」

 男は男らしくなろうとしてクールで論理的で無口になろうとするものだが、感情と共感をとても大切にする女性にとってはその態度は拒絶や拒否としかとられかねられないものなのである。

 男として条件づけられたものが、女性との気持ちのすれちがいを数々ひきおこしていることがこの本の中で多くとりあげられていて、本書は感嘆することしきりの本である。もちろん女性として条件づられたものが男にどのような気持ちをひきおこさせるかものべられている。

 この本は男と女の違いをのべた私にとっては赤ラインとドッグ・イヤーだらけの貴重で重要な本になった。男女ともども読んでほしい本である。





 2004

 近年まれに見るベスト本 2004-1999年版 2004/12/30
 2004年ことしのベストは男女の違いを語った恋愛本/2003年、ことし読んだベスト本/2002年、ことし考えてきたこと/この本はなぜよいのか 2001年版/2000年 ことしの読書の流れとベスト本/1999年、今年読んでよかった本/

 041127書評集 天皇家と日本書紀 2004/12/30
 人生最高の書!15冊/『オニバハ化する女たち』『ファスト風土化する日本』『天皇家はなぜ続いたのか』『日本の古代8 海人の伝統』『日本書紀の読み方』『日本書紀』『日本の神々』『日本語に探る古代信仰』『神々と天皇の宮都をたどる』

 041031書評集 古代史事始 2004/11/8
 『万葉集』『日本歴史の原風景』『「日本の神様」がよくわかる本』『古代日本の謎』『日本海道西・東』『物語消滅論』『お金に「正しさ」はあるのか』『消された王権・物部氏の謎』『都市は他人の秘密を消費する』

 041011書評集 海と川の交通、歴史地名、古代史 2004/10/11
 『海と列島の中世』『<交通>』『海の道、川の道』『日本「歴史地名」総覧』『平野は語る』『海に生きる人びと』『人とモノと道と』『日本の地名』『関西 自然史ハイキング』『大地のおいたち』『古代史の秘密を握る人たち』『古代史を解く九つの謎』『卑弥呼はふたりいた』『崇神天皇とヤマトタケル』『古代七大王国の謎』ほか

  040824書評集 地形・地理・歴史  2004/8/24
 『年収1/2時代の再就職』『街道で読み解く日本史』『日本の都市は海からつくられた』『景観から歴史を読む』『日本地図から歴史を読む方法』『難波京の風景』『天下の台所・大坂』『<恋愛結婚>は何をもたらしたか』『地名から歴史を読む方法』ほか

  040711書評集 2004/7/11
 『OLたちの<レジスタンス>』『中世人の経済感覚』『思想なんかいらない生活』『哈日族』『山の名前で読み解く日本史』『機会不平等』『大阪商人』『心を商品化する社会』『日本の地名』『風景を創る』『流通列島の誕生』『江戸の旅文化』『恋愛の格差』ほか

  040530書評集 2004/5/30
 『マンガで読む涙の構造』『「おたく」の精神史』『アメリカは恐怖に踊る』『ポスト・ヒューマン・ボディーズ』『足が未来をつくる』『張方と江戸をんな』『清福と貪欲の日本史』『ホンネで動かす組織論』『働かないって、ワクワクしない?』『ケータイをもったサル』『日本人はなぜいつも「申し訳ない」と思うのか』『<美少女>の現代史』

 私の愛する本たちの写真 2004/5/1
 私の愛する本。ニーチェ、現代思想、社会学、中国思想、仏教、心理学など。。

 私の本棚写真 2004/4/25
 私の本棚の写真を載せています。

 ひたすら読む女の小説 2004/3/21
 『恋愛中毒』『雪を待つ八月』『熱』『イブの憂鬱』『僕らの広大なさびしさ』『愛には少し足りない』『こんなにもひとりぽっち』『ヴァージン・ビューティ』『L文学完全読本』『冷静と情熱のあいだ』『彼のバターナイフ』『13のエロチカ』『蛇を踏む』『溺レる』『エロティシズム』『ヴァンサンカンまでに』『彼女たちのエロチカ』ほか

 女性のマンガと女性の恋愛小説 2004/2/3
 『20世紀少女マンガ天国』『白鳥麗子でございます』『なぜ、男は「女はバカ」と思ってしまうのか』『なぜ彼は本気で恋愛してくれないのか』『おいしいコーヒーのいれ方』『夜のかけら』『だんだんあなたが遠くなる』『ヴァージン・エクササイズ』『天使の卵』『まどろみの秋』『あなたが欲しい』ほか

 女のマンガに女のリアルを読む 2004/1/3
 『この人と結婚していいの?』『わかりあえる理由 わかりあえない理由』『たとえば恋愛コミックはこう読む』『さよなら みどりちゃん』『僕は月のように』『ジャスト・ラヴァーズ』『フレンチドレッシング』『愚図な女ばかりじゃないぜ』『あたしの女に手を出すな』『ラブ・ストーリーズ』『はあはあ』『ハッピーマニア』『ヤング・アンド・ティアーズ』





 2003

 壊れた愛の物語 2003/12/6
 『愛する人を所有するということ』『恋がうまくいかない理由』『ずっと彼氏がいないあなたへ』『愛が壊れないための心理学』『50人の失恋物語』『ワルの恋愛学』『ひねくれた人に振り回されない88の方法』『恋愛セラピー』『赤面と純情』『恋愛はもう懲りたという人へ』ほか

 うまくいかない恋愛のもがき方 2003/11/1
 『セブン・ラブ・アディクション』『娘の恋愛タイプは母親で決まる』『消費される恋愛論』『恋愛依存症の心理分析』『依存症の女』『掟やぶりの結婚道』『恋愛学がわかる。』『恋愛論』『女たちは男のここを見ている』『恋愛の法則36』『女心のナゾを解く恋愛教科書』ほか

 恋愛ハゥトゥ本ばかりで申し訳ない 2003/9/27
 『女性の「オトコ運」は父親で決まる』『恋のすれちがい』『性と日本人』『愛が深まる本』『男たらし論』『教養主義の没落』『恋愛依存症』『くらたま&岩月教授のだめ恋愛脱出講座』『ベスト・パートナーになるために』『バカの壁』『恋の心理法則50』『本当に愛されているの?』ほか

 エロス探究 2003/8/17
 『日本エロ写真史』『エロスの解剖』『AV女優』『女たちの私生活』『ウソを見抜く女と結婚したがらない男』『恋愛45! 紳士・淑女の性愛学』『官能フェチ読本』『性のプロトコル』『女と男のだましあい』『性と文化の革命』『女のオカズ』『恋愛について』『ニュースをみるとバカになる10の理由』ほか

 セクシュアリティについて考えたい 2003/7/15
 『日本の童貞』『性の倫理学』『性の日本史』『愛を笑いとばす女たち』『性と愛の日本語講座』『愛より速く』『快楽の技術』『愛と性の美学』『スカートの中の秘密の生活』『エロティシズム』『みだらの構造』『不純異性交遊マニュアル』『快楽電流』『オン・セックス』『恋愛できない男たち』『メディア・セックス幻想』『夜這いの性愛論』『エロティックと文明』『ピンナップ・エイジ』

 0300614書評集 2003/6/14
 『知識人とは何か』『保守思想のための39章』『日本を思ふ』『シングル化する日本』『正義を疑え!』『閨閥の日本史』『日本がわかる思想入門』『肉体不平等』『快楽主義の哲学』『家族をめぐる疑問』ほか

 030511書評集 批判か肯定か 2003/5/11
 『ホントの話』『反日的日本人の思想』『人間通でなければ生きられない』『正体見たり社会主義』『愛はテロリズム』『女は男のどこを見ているのか』『この思想家のどこを読むのか』『タレント文化人100人斬り』『平成日本を「超」ダメにする44人の知識人・文化人』『元気の出る読書術』『「名著」の解読学』ほか

 030412書評集 知識人たち 2003/4/13
 『ゴシップと醜聞』『ニッポンの知識人』『批評の事情』『まれに見るバカ』『まれに見るバカ女』『インテレクチュアルズ』『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』『好奇心と日本人』『紅一点論』『ドイツロマン主義とナチズム』『面白いほどよくわかる現代思想のすべて』『明治人の教養』『大阪まち物語』

 030310書評集 知識批判 2003/3/10
 『病に医者いらず』『この新書がすごい』『宗教民俗学への招待』『病気と治療の文化人類学』『からだことば』『知識人の生態』『学問と「世間」』『気流の鳴る音』『科学者とは何か』『頭はよくならない』『ニューヨーク知識人』

 030209書評集 専門家批判 2003/2/9
 『東京の下層社会』『ふざけるな専業主婦』『フロイト先生のウソ』『「心の専門家」はいらない』『脱学校の社会』『大和・河内 発見の旅』『シンプル人生の経済設計』『精神科医を精神分析する』『ゼニで死ぬ奴 生きる奴』『落層』

 030113書評集 2003/1/13
 『フィールド・オブ・イノセンス』『風の丘を越えて』『ポスト・オフィス』『トルストイ後期短編集』『ヨブ』『ミステリーの社会学』『若者が≪社会的弱者≫に転落する』『ホームレス人生講座』『山谷崖っぷち日記』『アンジェラの灰』『日本の盛衰』『「甘え」の成熟』





 2002

 021201書評集 おもしろい小説を探してます 2002/12/1
 『クヌルプ』『自由の地を求めて』『たのしく読めるイギリス文学』『ありきたりの狂気の物語』『日本の近代小説』『マーフィー こうすれば人生はもっと楽しくなる』『映画で読むアメリカ』『ジョイ・ラック・クラブ』『輝ける碧き空の下で 第一部』

 021005書評集 文学迷妄 2002/10/5
 『読書中毒』『小説の読みかた』『ねじまき鳥クロニクル』『勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪』『さらば愛しき女よ』『小説入門』『フランス恋愛小説論』『スキップ』『闇の左手』『雪のひとひら』『小説世界のロビンソン』『本は鞄をとびだして』『イエスタデイ・ワンス・モア』『リプレイ』

 020907書評集 ワンコイン小説本 2002/9/7
 『ヌード写真』『日本人はなぜ水に流したがるのか』『男という不安』『身体の文学史』『ONE』『恋愛小説の快楽』『ねじまき鳥クロニクル』『光の旅人』『神さまはハーレーに乗って』『ピュタゴラスの旅』『星を継ぐもの』『スは宇宙のス』『町でいちばんの美女』『ソフィーの世界』

 020804書評集 心身医学 2002/8/4
 『疲労回復の本』『筋肉疲労が病気の原因だった』『かわいいこころ』『身体のすべてがわかる事典』『肩こりはこれで治せる』『気で観る人体』『知られざる健康法』『リフレッシュ50の健康法』『プラトニック・アニマル』『「病は気から」の医学』『心身症』『心療内科』『こころと体の対話』『身体感覚を取り戻す』『さみしい男』

 020707書評集 身体と心のメカニズム 2002/7/7
 『内臓を強くするスポーツトレーニング』『心とからだの健康学入門』『自己弛緩法』『しぐさの不思議』『人体の不思議』『不思議いっぱい「からだ」の謎学177』『ヒトの解剖』『解剖学 個人授業』『ストレスパワー』『ストレスがもたらす病気のメカニズム』『新釈・からだ事典』『新釈・びょうき事典』

 020608書評集 身体を知る 筋肉を知る 02/6/8.
 『整体 楽になる技術』『写真でわかるストレッチング』『体の疲れをとる本』『愛するということ』『男と女のLOVE2ブック』『男のH・女のH』『男はときどきいればいい』『視力復活眼筋トレーニング』『コンシャス・ヒーリング』『人体の謎A』『ウソ、ホント!? 「からだの不思議」の雑学』『「疲れ」をとる裏ワザ・隠しワザ』『ガンバリズムが歯を壊す』『聖なる予言』

 020504書評集 聖地と霊魂の民俗学 02/5/4
 「古代日本人・心の宇宙」「聖地の想像力」「聖なる大地」「日本宗教とは何か」「「嫌いな自分」を隠そうとしてはいけない」「仏教信仰の原点」「平安京の怨霊伝説」「常世論」「憑霊信仰論」「霊魂観の系譜」「脳とテレパシー」

 020407書評集 霊魂・あの世・神々 2002/4/7.
 「日本多神教の風土」「神界のフィールドワーク」「セスは語る」「秘儀への道」「心霊主義」「和尚の超宗教的世界」「あの世と日本人」「日本人と浄土」「日本の神々」「日本人は「死後」に何を託してきたか」「ロミオ・エラー」「死後の世界」

 020309書評集 顔・肉体・魂 2002/3/9.
 「顔相の科学」「日本人の顔」「顔を読む」「顔の科学」「魂との対話」「宇宙の根っこにつながる生き方」「霊と肉」「アウト・オブ・ボディ」「コズミック・バイブル」「心を生みだす脳のシステム」「チャネリング・フォー・ユー」「宗教とはなにか」「宗教学入門」「聖と呪力の人類学」「死後の世界」

 020203書評集 チャネリング・アナザーワールド 2002/2/3.
 『リヴィング・ウィズ・ジョイ』『エマヌエルの書』『心の扉を開く』『思想としての孤独』『チャネリング@』『ラムサ―真・聖なる預言』『アウト・オン・リム』『魂の伴侶』『カミとヒトの解剖学』『霊界日記』『顔の現象学』『顔面考』『顔と表情の人間学』

 020106書評集 グルジェフ―神秘思想 2002/1/6.
 「グルジェフとクリシュナムルティ」「グルジェフ・ワーク」「奇蹟を求めて」「覚醒のメカニズム」「自己想起」「ワーズワス」「神智学」「神秘主義」「バーソロミュー」「神との対話」



Google
WWW を検索 サイト内検索

ご意見、ご感想お待ちしております。
 ues@leo.interq.or.jp























『グルジェフとクリシュナムルティ』 ハリー・ベンジャミン コスモス・ライブラリー
 




















『ラムサ―真・聖なる預言』 角川春樹事務所
 







































『バーソロミュー』 マホロバアート
 















『「嫌いな自分」を隠そうとしてはいけない』 デビー・フォード NHK出版
 






















『整体 楽になる技術』 片山洋次郎 ちくま新書
 




















『疲労回復の本』 津村喬 同朋舎
 
















『筋肉疲労が病気の原因だった』 福増一切照 総合法冷
 










『若者が<社会的弱者>に転落する』 宮本みち子 洋泉社新書y
 

















『フロイト先生のウソ』 ロルフ・デーゲン 文春文庫
 















『「心の専門家」はいらない』 小沢牧子 洋泉社新書y
 






















『人間通でなければ生きられない』 谷沢永一 PHP文庫
 



















『夜這いの民俗学・性愛論』 赤松啓介 ちくま学芸文庫
 










『恋愛セラピー』 松本一起  KKロングセラーズ
 



























『この人と結婚していいの?』 石井希尚 新潮文庫 
 

















『なぜ彼は本気で恋愛してくれないのか』. ハーブ・ゴールドバーグ ワニ文庫
 

   
inserted by FC2 system