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本文へジャンプ テーマは女を勉強する。 




 


■040203書評集
 女性のマンガと女性の恋愛小説






 『20世紀少女マンガ天国』
 エンターブレイン 2001 1400e(古本)

 少女マンガを年代別、マンガ家論、テーマ別にわけて紹介した雑誌である。500作品もの情報量は膨大で、読みたそうな作品をさがすのはひと苦労である。



 『恋の掟』 桜沢エリカ
 祥伝社 1994 900e(古本)

 女の子を自殺未遂に追い込んだり、サイフからお金をぬきとったりするするひどい男に魅かれる話で、どろどろになるまえに主人公は手をひいており、ちょっと拍子抜けだ。もし好きになった人がこういう人だったらどういう気持ちかを味わせてもらいたかった。




 『目を閉じて抱いて』 内田春菊
 祥伝社 1994 @950e(古本)

 女のからだをもち、ペニスをもつ両性具有の女(?)にほんろうされるカップルが描かれているが、評判によるとふつうの女の自分勝手さが問題になっていたそうだが、ちょっと私はこのような世界は遠慮しておこう。




 『敏感すぎてすぐ「恋」に動揺してしまうあなたへ。』 エレイン・N・アーロン
 講談社 2001 1800e(古本)

 恋に敏感すぎる人を「HSP」という性質にカテゴライズしているが、敏感さをひとつの人格や性質ととらえてしまうのはちょっと違和感がある本でした。




 『白鳥麗子でございます』 鈴木由美子
 講談社漫画文庫 2000 2、4巻600e(古本)

 高飛車と自意識過剰、短絡的な思考がこっけいさをうみだすマンガである。たぶんこのような性質は女性のだれもがわずかにもつもので、それが過剰になって笑われるのがこのマンガのおもしろさなのだろう。高飛車の陰にはじつは必ず劣等感や矮小感がはりついており、その振幅の激しさや弱さが垣間見れるところに女性の共感をうむのだと思う。高飛車は女性の心の弱さのガードなのかもしれない。




 『なぜ、男は「女はバカ」と思ってしまうのか』 岩月謙司
 講談社+α新書 2003 700e(古本)

 男と女の違いをひしひしと感じる今日このごろです。女性はうれしい、楽しい、気持ちいい、という感情をとても大切にする。男の私もうれしいや悲しいなどの感情をもっているはずなのに、女性のように感情に身をまかすことは必死に抑制する。だから女性の感情がヒートして、論理が飛躍するのにはとてもついてゆけない。女心を理解するには感情にどこまでも身をまかせる経験が必要なのだろうか。でもそんな抑制のなさは男の私にとってはとてもコワイことに思えるが。




 『天然コケッコー』 くらもちふさこ
 集英社コーラスシリーズ 1995 @490e(古本)

 女性に評価が高そうだったので読んでみたが、すっかり汚れたオトナになった私にはあまりにも清らかすぎる少女マンガである。




 『白いサテンのリボン』 岩館真理子
 集英社ヤングユーコミックス 1994 460e(古本)

 芸術的に少女が美しく描かれている。なんでも少女期の終焉の不安を岩館は描いているそうだが、たしかにはかない、折れそうな雰囲気がただよっている。




 『凛が鳴る』 内田春菊
 文春文庫 1990 600e(古本)

 内田春菊のマンガはなぜ異例に小説の文庫本に入っているのだろう? 小説が芥川賞候補になったからかもしれないが、このマンガにそんな高い評価をあげる必要は感じられなかったのですが。




 『愛の風景』 高見まこ
 双葉社 1993 @A780e(古本)

 けっこうエロスを感じた短編集だった。継母とか教師、カノジョの母、義妹などの禁断の恋がエロスを感じさせるのか。これらの作品にはかならずなんらかの禁止や障害がある。みごとにエロスのツボをついた構造というべきか。




 『愛する気持ち、愛されたい気持ちの伝え方』 吉本由美
 三笠書房 1999 1143e(古本)

 作詞家らしい詩的な表現にいいところがあったりする。




 『なぜ彼は本気で恋愛してくれないのか』 ハーブ・ゴールドバーグ  
 ワニ文庫 1991 648e

 たぶん女性向けに書かれているのだろうが、男がぜひ読むべき女性にとっての男の性質がどのようなものかを教えてくれる驚嘆の書である。男らしさ、男としてよかれとやっている論理や感情の抑制が、女性を傷つけているとはじつに皮肉なものである。

 「少年のころは、身近な人に頼らない男らしさを見せると好感をもたれました。とくに喜ばれほめられた気質は、自立心旺盛、意欲的、野心的、目標志向、ワンパクさ、責任感の強さ、活発さ、といったところでした。
 ――ところが皮肉なことに、彼を「男らしく」見せていた気質が、将来「無神経」で女性に横暴にふるまう男に彼をしたてあげてしまうのです」

 男は男らしくなろうとしてクールで論理的で無口になろうとするものだが、感情と共感をとても大切にする女性にとってはその態度は拒絶や拒否としかとられかねられないものなのである。

 男として条件づけられたものが、女性との気持ちのすれちがいを数々ひきおこしていることがこの本の中で多くとりあげられていて、本書は感嘆することしきりの本である。もちろん女性として条件づられたものが男にどのような気持ちをひきおこさせるかものべられている。

 この本は男と女の違いをのべた私にとっては赤ラインとドッグ・イヤーだらけの貴重で重要な本になった。男女ともども読んでほしい本である。




 『おいしいコーヒーのいれ方』 村山由佳
 集英社文庫 1994〜 TUV381e WX400e(古本)

 あまりにもフツーすぎる設定と展開におどろいた。いっしょに暮らしはじめたいとこは血がつながっていなかったり、シャワーをあびているときに停電になったり。これってなにか物語にするほどの価値がある話なのか、なぜながながと連載をつづけるのか、首をかしげてしまう。う〜むむむ、なんなのだろう。これを狙っているのか。




 『夜のかけら』 藤堂志津子
 講談社文庫 1998 533e(古本)

 ひとりの男だけでは耐えられない、なぜ一人の男にすべてを求めなければならないのか、という女性が主人公の物語であるが、私としてはなぜその女性はそのような心理にいたったのかをいちばん知りたかったのだが、この小説ではそういう問い方はしていなかったみたいだ。おそらく私は主人公の心の弱さとか隙間に原因を求めたかったのだろうが、それはロマンティック・ラブ・イデオロギーの正当化にほかならないというものだ。




 『だんだんあなたが遠くなる』 唯川恵
 幻冬舎文庫 1993 457e(古本)

 唯川恵の小説っていいかもしれない。あらすじを読んでいるだけで、恋愛の切ない気持ちやつらい気持ちなどのどのような気持ちを味わえるかよくわかっていい。たとえばこの物語では恋人が友だちに惹かれてゆく話で、愛する人がほかの人に想いを寄せてゆきながら、見守るほかなすすべもない、そういう気持ちを味わわせてくれる物語である。予定調和的に愛する人の気持ちがほかの人に向かう切なさや悲しさをたっぷりと味わえる小説です。




 『ヴァージン・エクササイズ』 桜井亜美
 幻冬舎文庫 1998 457e(古本)

 この桜井亜美という人はなんなのだろう、ポップソングのようなおしゃれなタイトルとおしゃれな写真をつかった表紙。カッコよくておしゃれなのはよくわかるが、薄っぺらな戦略だと思っていたが。

 物語はちょっとくるものがあった。五百人の女と寝て人を愛せない男と、傷つかないためにはじめての相手をその男に選んだ女子高生。でもだんだんと惹かれてゆくという話である。つらいだろうな〜、キビシイだろうな〜と思った、愛せない男を愛するなんて。癒しの物語である。




 『みんないってしまう』 山本文緒
 角川文庫 1997 438e(古本)

 ストレートな恋愛小説を読みたかったので、ちょっと違った。




 『天使の卵』 村山由佳
 集英社文庫 1994 390e(古本)

 『おいしいコーヒーのいれ方』にくらべれば、こっちのほうがよほど物語は屈折していて深いところがある。冷めかけている恋人の姉に恋したり、主人公の父は精神病患者だったり、恋人になった姉の前夫は発狂して自殺したり。複雑に交錯しているが、どこか『ノルウェイの森』っぽいな〜。




 『まどろみの秋』 藤堂志津子
 新潮文庫 1995 476e(古本)

 恋愛の関係が嫉妬のために相手をねじふせたり、どちらかが支配するかという闘いに変貌していった関係にまきこまれる話である。そうでしょうね、嫉妬させられた相手がもし嫉妬の仕返しをはじめたら、闘いは収拾のつかないものになってゆくでしょうね。嫉妬合戦の泥沼だ。まるでサスペンスか、スリラーみたいな関係になる。

 嫉妬は事実か想像の区別もわからなくなってくるから、精神的にも危うくなる。まわりの人もまきこんで嫉妬合戦はくりかえされる。嫉妬しやすい人はこういう関係に陥りやすいのでないだろうか。願わくば嫉妬も仕返しも根っこからもたない心をもちたいものである。





 『あなたが欲しい』 唯川恵
 新潮文庫 1995 438e(古本)

 恋人の同僚に魅かれるのだが、女友達を彼とつきあわせようとしたために切ない気持ちを味わうだけの物語と思っていたら、さいごには性愛のエゴむきだしの関係が暴露されるちょっとたいへんなお話である。作者は恋愛のそれぞれの思惑やエゴ――人間の心の闇を暴きたかったのだろうか。あまり切なさや哀しさを味わわせるだけのすっきりした物語ではありません。




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20世紀少女マンガ天国




恋の掟



『目を閉じて抱いて (1)』



敏感すぎてすぐ「恋」に動揺してしまうあなたへ。



白鳥麗子でございます! (1)







なぜ、男は「女はバカ」と思ってしまうのか





天然コケッコー (1)




白いサテンのリボン



凛が鳴る




愛の風景 1 (1)












『なぜ彼は本気で恋愛してくれないのか』. ハーブ・ゴールドバーグワニ文庫






















キスまでの距離―おいしいコーヒーのいれ方〈1〉






夜のかけら






だんだんあなたが遠くなる







ヴァージン・エクササイズ






みんないってしまう




天使の卵―エンジェルス・エッグ






まどろみの秋










あなたが欲しい



   
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