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 ■031206書評集
 壊れた愛の物語






 『愛する人を所有するということ』 浅見克彦
 青弓社ライブラリー 2001 1600e

 人を所有するということはどういうことだろうか。人はモノのように所有できるものだろうか。愛という名のもとに人をモノと見なし、所有してよいものなんだろうか。こういう疑問をいつかうっすらとうかべていたことがあったのだが、この本は鋭い洞察はあるが、すこし哲学的すぎてむずかしかったかな。




 『恋がうまくいかない理由』 佐藤悦子
 大和出版 1992 1250e(古本)

 この本はなかなかよかった。恋のうまく行かない理由が心理学的に説明されていてよく納得できた。恋というのは愛する人とつながるために自分のだめな部分や劣等感、ゆがんだ思い込みなどともろに衝突することであり、愛を成就するためにはそれらを克服しなければならないということである。まさに自分自身を癒すプロセスなんだろう。愛する人と結ばれたかったら自我を捨てなければならない。




 『ずっと彼氏がいないあなたへ』 岩月謙司
 WAVE出版 2002 1200e(古本)

 恋愛を強迫・強制されている世の中で、「ずっと彼氏がいない」という言葉は恐ろしいひびきをもつ。そういう強迫観念から逃げるために彼氏をつくろうとするのは不幸なことだ。まずはこの強迫観念から自由にならなければ、恐怖に束縛されたままになる。

 岩月謙司という人はさいしょ『女は男のどこを見ているか』などを読んで根拠なき思考法に警戒をいだいたのだが、だんだんと信頼はできるようになってきた。まあこの本は「よい恋愛」と「悪い恋愛」を分けて「よい恋愛」をしようということである。




 『好きになる理由 好かれる理由』 伊東明
 三笠書房 2002 1300e(古本)

 この本ではいろいろな恋愛の心理学がのべられていて、恋のタイプ――ルダス(遊びの愛)、マニア(狂気的な愛)、エロス(美への愛)、ストルジュ(友情的な愛)なども紹介されている。まあ雑学的知識になる本です。




 『フランスにはなぜ恋愛スキャンダルがないのか?』 棚沢直子・草野いづみ
 角川ソフィア文庫 1995 600e

 まあ恋愛の学術っぽい本で、なんだかなんでこんな本があるのかという思いがした。メッセージとテーマがわたしにはぴんとこなかったためか。フランスの恋愛事情に見ならえということか。

 まあ、フランスでは自然に声をかけられたり、誘われたりするそうだが、年齢も関係なく、魅力を認め合ったり、気に入った異性を見つけることがフランス人の人生の楽しみだという。日本ではセックス目的の若い男のナンパがあるだけで、あとはガチガチになっているのはさみしいところだろう。性愛と人間の魅力が厳重に分離され過ぎているのだろう。




 『愛が壊れないための心理学』 J.ノヴィンスキー
 三笠書房 1988 1143e(古本)

 恋愛は自己評価が低ければうまくいかない。人と心を許し合う関係になるためには厳しすぎたり、傷つき過ぎたり、期待し過ぎたりしないよう戒めなければならない。パートナーには気に入らないこと、してほしくないことを伝えるのではなく、気に入っていること、してほしいことを伝えるべきである、なとが書かれている。恋愛にもポジティヴになれる自己啓発書があったらいいなと思う。




 『50人の失恋物語』 失恋者同盟・編
 データハウス 1994 1000e(古本)

 失恋話がつづられているのだが、他人から見ると恋愛のパターンや関係のあり方、性格なとがよく見えるものだと思った。依存症的な女とか尽くす女、ストーカー的な女とか、他人からはその失敗した理由がよく見えるのだが、失恋した本人は自覚できていないようなのがちょっと驚きだ。自分のことは第三者的には見えないものなのだな。




 『ワルの恋愛学』 心の謎を探る会[編]
 KAWADE夢文庫 2003 476e

 ワルのほうが恋愛心理についてよく知っている。だから異性の弱いところ、痛いところをついて魅きつけておいたり、コントロールすることができる。恋愛はワルに学ぶべきである。

 男女平等の世の中になっているのに誘うのはなぜいまだに男のほうなのか。女らしさを維持したい、結婚後の安定度を図るため、感性がちがう、安く買いたたかれないため、などが考えられる。

 女がジラしたり、ヒステリーをおこしたりするのは、男が自分のために長い間、忍耐するつもりがあるかを試したり、献身を怠れば後悔することを教えるためである。

 フツーの女は男の負担になることを避けようとするが、男はカネと時間を投資した分だけ女と別れなくなることを知っているから負担になるよう画策する。

 女性は男の尻、腰、腹にセクシーさを感じるが、中年にはそれを引き締めることがもうできないからである。




 『ひねくれた人に振り回されない88の方法』 岩月謙司
 大和書房 2003 1400e(古本)

 ひねくれる人は女性に多い。感情を中心にものごとを考えるからである。自分の感情を害した人は「悪い人」になってしまう。どんなに過去やさしくしてくれた人でもヒドイ仕打ちをおこなえるのは被害者意識で正当化してしまうからである。

 もし女性の中で、自分のことを愛してくれる人がいると裏切りたい欲求が出てきたり、傷つけたいと思ったりする人がいたりすると、恐ろしいと思いませんか。愛や好意をつたえたら、ぎゃくに地獄に突き落とされるのである。それを喜ばれたりしたら、こんなに恐ろしいことはないでしょう。

 心を開いたり、親切にしたりする人ほど、心を破壊しやすいからターゲットになるが、この本を読んで相手の心の世界を知ることですこしは愛の痛みを緩和することができるでしょう――か?



 『男を理解できない女 女がわからない男』 樺旦純
 三笠書房 2002 1300e(古本)

 恋愛の心理学的知識の本。まあ、そうかという本である。




 『恋愛セラピー』 松本一起 
 KKロングセラーズ 2003 905e

 かなりすばらしい本である。喧嘩や嫉妬より、愛したり許したりする気持ちのほうがどんなに大切なことか教えてくれる本である。愛する人を失うために怒りや嫉妬に駆られるわけではないのだから。この本は愛する愛おしさの気持ちをなんども思い出させてくれるかなりいい本である。

 「恋人が出来なかったあなたは、今まで自分のことを大切にしていなかったのです。今日からは、あなた自身を過大評価して、上へ上へ舞い上がりましょう」

 「いいですか、人に自慢しては駄目です。あなた自身に自慢してあげるのです。毎日、自慢してください。あなたはたくさんの人の前でも、堂々とあなたでいられるはずです」

 「恋愛の想像は、なぜかマイナス志向が多いのです。頭で思うって分かりますか。気持ちを鎮めることから始めるのです。好きな人のことを悪く悪くイメージして、押さえ付けてゆくのです」

 「嫉妬しない方法。とても簡単なのです。相手を信じればいいのです。悪い想像力を使って、些細なことを広げなければいいのです。たった、それだけのことです。だって、あなたはその人と別れたいのですか。相手の人のことをすべて信じればいいのです。疑うなんて最低です」

 「あなたが、彼のことを心から愛していたり好きだったりしたら、どんなことでも許してあげるのです。――それとも、自分の我を通して、相手を押さえ込んで、相手に謝らせたいのでしょうか。何日も何日もかかって、相手に謝らせたいのですか。その間、音信が途絶えても自分を優位に立たせたいのですか。好きな人と喧嘩して何が楽しいのですか。ただ苦しむだけなのです」




 『なぜ、男は女より嫉妬深くなったのか』 富田隆
 PHPエル新書 2003 760e

 嫉妬という感情とどうつきあったらいいのかを知りたかったのだが、あまり嫉妬をテーマに一冊に絞った本がなくてこの本を読んだのだけど、まあそうですかという本です。




 『赤面と純情』 小倉敏彦
 廣済堂ライブラリー 2002 1400e

 切り口がおもしろい本である。赤面から恋愛関係の変遷を捉える視点はびっくりだ。赤面恐怖というのは病理的には捉えられても、文化的・文学的にその理由を探ろうという試みはなかったと思うからだ。つまり赤面というのは個人の病理現象でなく、文化やあるいは文化がつくりだした物語に原因があるということだ。

 生真面目に真摯に女性と対等につきあおうとしたときから、豪快に鳴らす男の赤面がはじまった。赤面とは男の自尊心を脅かすかもしれない女性への不安である。つまり男の優越性を剥奪されたときから、男は女と正面からむきあうすべを失ったのである。男の優越性がこじれているわけだ。男を女の格下においてもよいやと開き直ったときにぎこちない恋愛のコミュニケーションは気にならなくなるのかもしれない。




 『恋愛はもう懲りたという人へ』 三国ますみ&ダニエル・ミルズ
 VOICE 2001 1400e(古本)

 やっぱりニューエイジ系の恋愛論はいいと思う。悩みや怒りを手放すという方法がいたるところに出てくるからだ。この心を捨てるという方法が、ほかの知見ではなかなか出てこないのが残念というか、ヤバイと思う。悩みや怒りがこじれてゆく一方なのに。

 「自分の恨みつらみにしがみ続けることは、自分の人生を毒することに気がついたからです。愛する人の誤りを責め続けることよりも、恨みつらみから自由になってハッピーであることのほうが重要だと思ったからです」

 「けんかをやめたい時「気持ちがかみ合わなくて、淋しい」って言える女性になりたい」

 「彼を愛しているから、私には許すしか選択肢はないのです」




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恋がうまくいかない理由―幸福になれる愛のセラピー










ずっと彼氏がいないあなたへ





好きになる理由 好かれる理由




フランスには、なぜ恋愛スキャンダルがないのか?









愛が壊れないための心理学―もっと愛される自信、愛する自信がわいてくる










50人の失恋物語





ワルの恋愛学


















ひねくれた人に振り回されない88の方法―誠実で親切な人ほど傷つけられて悩む






男を理解できない女 女がわからない男―「男女の誤解」についての57の質問



『恋愛セラピー』 松本一起
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なぜ、男は女より嫉妬深くなったのか




赤面と純情―逃げる男の恋愛史










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