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■0300614書評集






 『知識人とは何か』 エドワード・W・サイード
 平凡社ライブラリー 1993 840e

 知識人は反骨や懐疑をもちつづけるべきだといわれているが、人生の幸福という点ではそれはどうかと最近思うようになってきた。知識の商売にかかわっている人ならともかく、一般人が懐疑や反逆の精神に影響されることはあまり幸せなことではない。知識人の価値観を崇拝して世の中を呪いつづけるべきではない。私は心の平安を第一にしたい。




 『保守思想のための39章』 西部邁
 ちくま新書 2002 720e

 批判や懐疑の進歩主義より、世界を肯定する人生のほうが幸せだと思うようになってきたので、保守主義は気になる存在になってきた。ただこの本から学びたいことは学べなかった。




 『日本を思ふ』 福田恆存
 文春文庫 1969 514e

 保守思想家に学びたいということでこの福田恆存を読んだ。日本人論、進歩主義批判がよかった。西欧ばかりを崇拝して日本を全否定することは再考しなければならないのではないかと思う。それよりも現実否定の精神のほうが不幸なことであるが。




 『シングル化する日本』 伊田広行
 洋泉社新書 2003 720e

 未婚、離婚、高齢化とシングルの人がふえつづけているにかかわらず、家族単位の発想がいまだに根深いことを指摘した本である。変貌をしっかりと認識しなければならない。




 『正義を疑え!』 山口意友
 ちくま新書 2002 700e

 そうですね、正義を頭から信じるのはキケンですね。反対者を排斥したり、押しつけたり。マスコミ、アメリカ、平等主義者、博愛主義者。みずからの正義を盲信する人は恐ろしくなる。正義を疑う態度はまったく必要だ。




 『閨閥の日本史』 中嶋繁雄
 文春新書 2003 680e

 戦での勝利者がすべて勝利者とはかぎらない。血や遺伝子の存続では敗者が勝利しているばあいもある。繁殖の優位性から考える社会生物学の竹内久美子の本を読んで、日本史もその視点から読み直すのもおもしろいのではないかと思った。閨閥とは血のネットワークのことである。政権をとった者ではなく、子孫の存続を有利にした者たちが生命の勝利者といえるかもしれない。




 『日本がわかる思想入門』 長尾剛
 新潮OH!文庫 2000 600e(古本)

 私にとって政治史はつまらないけど、こういう思想史や観念の変遷というのはおもしろい。価値観の編み方である。知識に価値をおくものは思想史が重要だろうし、政治に価値をおくものは政治史、経済に意味をもとめる人は経済史といったように、政治史ばかりに重点をおく歴史ばかりを押しつけられるのはおもしろいものではない。わかりやすく、まとまった本である。




 『肉体不平等』 石井政之
 平凡社新書 2003 700e

 身体コンプレックスや醜形不安をもった人ではないとわかりにくい本である。肉体の不平等というネーミングはよかったと思うが、問題設定や語ることの難しさがあるのかもしれない。

大系 日本の歴史〈3〉古代国家の歩み


 『古墳とヤマト政権』 白石太一郎
 文春新書 1999 660e

 古墳というのはどう見たってただの山か森にしかみえない。大阪の古市や百舌鳥の歴史めぐりをしてもまったくおもしろみがない。ということでこの歴史書を。




 『大系日本の歴史B――古代国家の歩み』 吉田孝
 小学館ライブラリー 1988 950e(古本)

 奈良の山をハイキングしているうちに奈良の歴史を知りたくなったので読んだ。まあもちろんこの本は奈良の歴史ロマンの本ではない。




 『快楽主義の哲学』 澁澤龍彦
 文春文庫 1965 450e(古本)

 心の平安を第一におくストア哲学やエピクロスの思想は私の興味あるところだが、現代ではどう捉えられているのかという興味から読んだ。あれ、欲望は心の平安を乱すものだからつつしむというのがストア系の考えだったと思うが、ここでは欲望主義になっている。まあ、どうでもいいや。




 『家族をめぐる疑問』 ダイアナ・ギティンス
 新曜社 1985 2472e(古本)

 「なぜ人は結婚するのか」「なぜ人は子どもを生むのか」という問題設定に興味ひかれて読んだ。まあ、いろいろな解釈がなされている。35歳で独身の私はこれからどうしたらいいのだろうか。





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知識人とは何か




保守思想のための39章




日本を思ふ





シングル化する日本



正義を疑え!





閨閥の日本史





日本がわかる思想入門





肉体不平等―ひとはなぜ美しくなりたいのか?



古墳とヤマト政権―古代国家はいかに形成されたか


大系 日本の歴史〈3〉古代国家の歩み




快楽主義の哲学





家族をめぐる疑問―固定観念への挑戦








   
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