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■020707書評集
身体と心のメカニズム


▼2002/7/7.




 『内臓を強くするスポーツトレーニング』 監修/野沢秀雄
 成美堂出版 2001 1300e

 トレーニングで内臓が鍛えられるのかと思うが、外側の筋肉を鍛えたり、刺激を与えたりすることで、内臓の活性化も導けるようである。

 筋肉をのばしたり、鍛えたりすると、筋肉につつまれた臓器は刺激をうけて活性化し、血液の流れもよくなり、活発に働くようになるそうだ。

 だから弱い臓器があれば、そのまわりの筋肉を鍛えてやればいいという道理である。弱い臓器にただ手をこまねいて見ていたり、薬まかせばかりにするのではなく、外側からも強くできることを知らなければならないと思う。




 『心とからだの健康学入門』 倫理研究所編
 新世書房 1986 900e(古本)

 心と病気の関係を鮮やかに切り開いて見せており、思わず名著だと思った。が、なんでも精神の問題に帰するのは弊害が多いことも考えられるし、医学もそのへんの相関関係は明確にしていないので慎重ではありたいと思うが。

 この本では病気とは心の象徴やあらわれだとされている。胸を閉ざす人が肺結核になったり、頭にかーっときやすい人は脳卒中になったり、ガンコ者が胆石や関節リウマチをつくったりと、性格と病状の相関関係が見事なまで呈示されている。

 心とは「頭にくる」とか「腹がたつ」「胃が痛い」といったように身体の部位で示される。その性向が高じすぎると、その部位が病気になるのである。過剰な性格の傾向には病気があらわれるから、その性格を是正しなければならないということである。




 『自己弛緩法』 原野広太郎
 講談社現代新書 1987 600e(古本)

 心の病気はかならず身体にあらわれると思う。とくに上半身の緊張にあらわれる。その緊張感がまた心の不安定やいらいら、憂うつを導く。

 心理学はからだの緊張に注目しないから困ったものだと思う。からだの緊張から解いていけば、癒せる症状もたくさんあると思われるのだが。

 まあ、身体の緊張には気づきにくいということがあるし、またわれわれも頭や言葉ばかりにかまけて、身体にまったく注目しないということもある。心や頭ばかりではなく、身体に価値をおくということがひじょうに重要だと思う。

 この本の中では緊張と弛緩をからだで知ってゆく方法が紹介されているのだが、正直ひじょうにめんどくさい。難しすぎる部分がある。もっとかんたんな方法はないのかなと思う。




 『しぐさの不思議』 博学こだわり倶楽部
 KAWADE夢文庫 1993 480e(古本)

 身体の動きや姿勢それ自体が言葉であり、感情であるはずである。それなのに私たちはどうも顔や言葉だけに注目し勝ちである。しぐさや姿勢に心や感情を読みとる、あるいは重ね合わせるべきなのである。しぐさから言葉を読みとる訓練のためにこの本を。




 『人体の不思議』 博学こだわり倶楽部
 青春BEST文庫 1991 460e(古本)

 からだについて知ろうと思ったら、新書とかふつうの文庫ではあまりなくて、こういうおもちゃみたいな文庫ばかりに集まっている。雑学・実用文庫とでもいうのかな。まあ、「ふ〜ん、そうかぁ」というくらいの本だけど、少しは知っておきたい体のしくみがわかる。




 『不思議いっぱい「からだ」の謎学177』 北村蓉子監修
 にちぶん文庫 1993 480e(古本)

 からだの雑学について片っぱしから読んだ文庫の中の一冊。もう、いいや。




 『ヒトの解剖』 井尻正二
 築地書館 1969 1300e(古本)

 人の体の中身を知ろうとなったら、解剖となるのだが、いろいろな解剖学の本があって高いのは多いし、ほんとうの人体の解剖写真もあってオ、オトロシイ。この本はじっさいに解剖した人の見た目とか感触、からだを切り開く順番、ホルモン料理との比較とかがあってわかりやすい。




 『解剖学 個人授業』 南伸坊 養老孟司
 新潮文庫 1998 400e(古本)

 南伸坊が文章を書いていて、養老孟司の授業がはさまれる形になっている。養老孟司という人はとてもおもしろいことを思い出したし、南伸坊の話もなかなかおもしろかった。




 『ストレスパワー』 若桜木虔
 光文社文庫 1988 420e(古本)

 ストレスにさらされたときの身体のメカニズムが明確に示されている。こういう説明がほしかった。まあストレスのとき息はつめられ、筋肉は収縮し、血管は流れなくなり、内臓のはたらきは鈍り、心臓は血液を送り続けるという構図になる。酸素は運ばれず、疲労物質も去らないという状態になる。

 糖類と肉類の摂取はまちがいだという。効率が悪すぎ、しかも血液の粘性がたかまり、酸素も疲労物質もはこばれなくなるのである。

 人間の身体はストレスにさらされたとき、大昔に獣と闘った戦闘状態と同じになる。筋肉の鎧で固められ、出血にそなえ、内臓は休み、戦闘と逃走の体勢になる。

 現代のストレスでもこの生死の戦闘態勢はあいかわらず再現されたままである。おかげでわれわれは生死の最大出力のまま、心身を蝕んでしまうというわけである。過剰な身体ドライブをゆるめるテクニックを身につけるべきなのである。

 この作家はうつになった人間トラブルをえんえんと書きつづけていたが、こういう恨みの保持と正しさの証明が自分を追い込んでいるということに気づくことができたのだろうか。




 『ストレスがもたらす病気のメカニズム』 高田明和
 角川ソフィア文庫 1990 619e

 この本はタイトルにあるストレスと身体の関係を知りたかったのだが、そういうところより、からだのしくみや脳の話が多かった。まあ生理学的な話がベンキョーできてよかったか。



 『新釈・からだ事典』『新釈・びょうき事典』 渡辺淳一
 集英社文庫 1989/1996 660e/476e(古本)

 からだとびょうきについてのわかりやすく、読みやすい本である。健康医学の本はイラストばかりで文章がおろそかだし、文庫の価格でなら読みたいと思うので、この文庫はちょうどいい。




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