やっぱり80年代ロックだぜ、ベイビー!
80年代はMTVというのが出てきて、音楽が映像と物語性をもって、何倍にも魅力的に、強烈に印象づけられた時代だった。
テレビで小林克也の『ベスト・ヒットUSA』という存在を知るまで、ずっとアメリカの歌手たちはまるで顔が想像できなかったのだが、映像からかれらが現れ、しかも曲に合わせてドラマを演じているとなったら、思わず魅きつけられるしかない。
週末はこの番組とMTVの番組で、毎週がとても楽しみだった。
だが、とつぜんのように『ベスト・ヒットUSA』はなくなってしまい、MTVもいろいろな番組に様変わりしながら、消えていってしまった。
そのうちにあんなに好きだったアメリカのヒットチャートも、なにが流行っているのか、とんとわからないようになってしまった。いまはケーブル・テレビとか衛星テレビとかでしか見られないのだろうか。
80年代よ、さらば、である。
80年代は、マイケル・ジャクソン、マドンナ、プリンスの時代になるだろうか。
マイケル・ジャクソンの『スリラー』は3千万枚いじょう売れていたし、あのゾンビが踊る姿は、パロディとかで子どもでも知っていただろう。
マドンナははじめて見たとき、エアロビのねーちゃんが踊っているにしか見えなかったのだが、『ライク・ア・ヴァージン』というよいアルバムで大ヒットした。
プリンスは曲が渋かったし、バラードもいい唄を唄っていた。
だいたいわたしの好きな唄はロックというよりか、バラードが好きで、よいバラードを一曲唄っていたら、その歌手を気に入った。
洋楽を聴きはじめたのは80年あたりからで、ちょうどいい唄を出して活動を再開したジョン・レノンが撃たれた年だった。
中学のころは出す唄出す唄がすべていい曲に聴こえた、ビリー・ジョエルのファンになった。
『オネスティ』とか『ピアノ・マン』、『素顔のままで』、『ストレンジャー』といい唄ばかりで、『イノセント・マン』あたりまでのアルバムは全部聴いていた。
やっぱりメロディー・ラインがいいし、声もいいし、日本受けするような要素がある。
ビートルズにひじょうに似ていると思う。
同じようにずっとヒット曲を出しつづけているエルトン・ジョンがいまいち、日本受けしないのは、ハードなノリのいい唄が感性的に合わないからだろうか。
ビリー・ジョエルは高校あたりから、あまり聴かないようになった。
バラードで大好きな唄は、ジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズ『愛と青春の旅立ち』と、フィル・コリンズ『アゲインスト・オール・オッズ』、スターシップの『セーラ』、シカゴ『素直になれなくて』、ライオネル・リッチー『ハロー』、エアー・サプライ『ロスト・イン・ラブ』あたりになる。
いずれも哀しくて、せつなくて、さみしい唄だが、わたしはこのような心が洗われるような曲が好きなのだ。
一時期はアラン・パーソンズ・プロジェクトに凝った。
SF的な音楽がよかったし、バラードもものすごいいい曲があったのだ。
『ドント・アンサー・ミー』や『アイ・イン・ザ・スカイ』という曲がヒットしている。
『ライムライト』という曲は心の底から力がわきあがってくるような名曲だし、『タイム』や『サイレンス・アンド・アイ』などバラードのよさはピカイチだ。
『ママガンマ』というインストゥルメンタルの曲は、挿入歌としてテレビ『ニュース・ステーション』でよく使われていた。
何年か前からはもうヒット・チャートの情報が入ってこないようになった。アメリカのヒット・チャートの移り変わりはスマサジイものがあって、ちょっとでも目を離すとたちまち知らない顔ばかりになってしまう。もういまはどんな唄が流行っているのかわからない。
ヒット・チャートを聴かないようになって、かわりに何年も聴きこめるような、アルバムをみつけるほうを好んだ。
本を読むようになって、あまりジャマにならないインストゥルメンタルなどを好んだ。
これらのアルバムはいまだに何年も聴きつづけている。
ヴァンゲリスの『ダイレクト』はSF的、神秘的な音の広がりをもっていて、その世界にものすごくひきこまれる。『南極物語』『炎のランナー』『ブレード・ランナー』などの映画音楽もいい。
アート・ガーファンクルの『レフティ』はものすごく感動的な曲が多く、歌声がすばらしく清涼だ。もちろん『明日にかける橋』という名曲があるサイモン&ガーファンクルのひとりだ。
ドリーム・アカデミーの『リメンブランス・デイズ』は、寒い感じのするアルバムだが、陽がほんのりと射しているといった感じだ。海鳥の鳴き声からはじまるおだやかな『インディアン・サマー』という曲が大好きだ。『ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン』しかヒット曲はない?
クリス・デ・バーの『フライング・カラーズ』は思いっきり寒いアルバムで、雪のふりつもった絶壁に立ちすくんでるようなアルバムだが、あたたかみも感じられる。『ウーマン・イン・レッド』(?)というヒット曲があるイギリスのシンガー。
アート・オブ・ノイズの『ビロウ・ザ・ウェイスト』も独特の無国籍な雰囲気がいい。『クルーソー』という曲のどこまでもおだやかな南海の楽園といった感じがいい。
エニグマの『プリンシプル・オブ・ラスト』はホントにぶったまげた。ロック・チャートにグレゴリオ聖歌をロック調にアレンジした曲が上がってきたのだ。でもアルバムは出すごとに落ちてるという感じがするけど。
ジェームス・テイラーの『ネバー・ダイ・ヤング』は、ひじょうにのんびりとした、ピクニックにでも行きたくなるいいアルバムだ。70年代のシンガーソングライターの大御所である。
カーペンターズの『シングルズ』は心の歌だ。『イエスタディ・ワンス・モア』はもちろんいいし、『レイニーデイズ・アンド・マンデイズ』もとても心がきよらかになるし、アルバム全体の雰囲気がいい。
まあこんな感じの曲をいまでも聴きつづけている。
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